相続が発生したとき
遺産の分け方
Q
.遺言が存在するものの、遺言書作成時に被相続人の認知症が進んでいた場合のように、遺言の効力に疑義があるとき、どのように遺産分割を進めていくべきでしょうか。
A
A
1 遺言の無効
自筆証書遺言書が発見されたものの、遺言の方式を満たしていない場合や、遺言書が作成された時点で被相続人の認知症が進んでおり、遺言能力がなかった場合には、遺言は無効となります。
2 遺言無効の争い方
上記の場合、遺言は法律上当然に無効となるため、遺産分割協議の中で遺言の無効を主張したうえで、法定相続分に従って遺産を分ければよいことになります。ただし、その遺言によって利益を受ける者がその遺言が有効であると主張し、これに固執している場合には、なかなか遺産分割協議は成立しません。この場合には遺言を有効と主張する者を相手方として、遺言無効確認の訴えを地方裁判所に起こし、裁判所にこの点についての判断をしてもらってから遺産分割協議をするべきでしょう。
なお、現実には、遺言書の効力に疑義があるが、一概に無効と断定できない場合もあるでしょう。この場合には、家庭裁判所に対して遺産分割調停の申し立てを行い、調停の中で妥当な分割を話し合うのも実務的対処と考えられます。もちろん、この調停の中で遺言の有効性を相手方が強く主張し、一歩も譲歩しないのであれば、やはり地方裁判所に対して、遺言無効確認の訴えを提起することになると思われます。
遺言の効力に疑問がある場合、弁護士に気軽にご相談ください。