相続が発生したとき
遺産分割コラム
Q
.最近夫が亡くなりました。夫は生命保険に加入しており、保険金は2000万円とのことです。この生命保険金も夫の遺産として遺産分割協議の対象となるのでしょうか。
A
A
生命保険金が被相続人の遺産として遺産分割協議の対象となるかどうかは、受取人がどのように指定されていたかによって異なります。
1 生命保険金請求権
被相続人の死亡により支払われる生命保険金の請求権は、生命保険契約を原因とし、被保険者である被相続人の死亡を停止条件として発生する債権です。
(1)被相続人が受取人に指定されていた場合
この場合、被相続人は自己のために生命保険契約を締結したものといえます。そのため、生命保険金請求権は、被相続人に帰属しそれが相続人に相続されます。したがって、この場合、生命保険金は相続財産に含まれ遺産分割協議の対象となります。
(2)被相続人以外の特定の相続人が受取人に指定されていた場合
この場合、被相続人は当該相続人のために生命保険契約を締結したものといえ、受取人である当該相続人の固有財産と解されます。したがって、この場合、生命保険金は相続財産に含まれず遺産分割協議の対象となりません。
(3)特定の相続人ではなく、単に「相続人」が受取人と指定されていた場合
この場合も、被相続人は自己のためではなく、相続人のために生命保険契約を締結したものといえます。したがって、生命保険金請求権は、相続人(共同相続の場合は複数の相続人)の固有財産と解されます。
また、複数の相続人が保険金を受け取るべき割合については、特段の事情がない限り、民法427条にいう「別段の意思表示」があったとして相続分の割合によるものと解されています。
以上より、この場合も、生命保険金は相続財産に含まれず遺産分割協議の対象となりません。
2 生命保険金も夫の遺産として遺産分割協議の対象となるかどうか、まずは受取人欄をご確認ください。
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