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よくあるご質問

Q.今年、父が亡くなりました。母は既に他界しており、父の相続人は、私と弟と妹の3人です。私は、晩年、父と一緒に暮らしていましたが、それまでは実家近くに家を構え、自ら農業を営むと共に、父の農業を手伝っていました。他の弟妹は、大学から県外に出て、そこで結婚もして家族もできたので、お盆や正月には実家に里帰りに戻ってくることはありましたが、一緒に暮らすということはありませんでした。両親は、広い田畑を有し、農業を営んでいましたが、人手不足のため、私が、自らの仕事をそっちのけで家業を優先して、両親の生計を支えてきました。父の遺産は預貯金の他に田畑や農業用機械があります。父は、生前、すべての財産を私に相続させると話してくれていたのですが、遺言書を作成しないまま亡くなってしまいました。 父の相続に関して、弟妹と遺産分割の話をしたところ、弟妹は、心苦しいけれど、家族の意向もあるので、法律で貰えるとされている分については、取得したいとのことでした。私は、これまで数十年に亘って、両親と一緒に汗を流しながら農業に従事し、田畑を守ってきましたので、それほど交流もなかった弟妹が全く同じ割合で相続するということについては、納得できないところがあります。私が家業に従事していたことについて、弟妹に対して、何か主張することはできないでしょうか。

A 寄与分を主張することが考えられます。

 

1 寄与分の主張

寄与分が主張できるケースは、①療養看護型、②家業従事型、③金銭出資型、④財産管理型、⑤扶養型の5類型に整理されているところ、ご相談の案件では、家業への従事に関して、「②家業従事型」の寄与分が認められる可能性があります。

「②家業従事型」の寄与分が認められるためには、次の要件が必要とされています。

⑴ 特別な貢献

被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を越える特別な貢献である必要があります。通常であれば、第三者に有償で依頼したり、雇ったりするような行為に貢献したということが想定されており、簡単な記帳作業や店舗の店番や電話番といった配偶者、親子間で通常期待される態様の範囲の貢献にとどまる場合には、特別な貢献とは評価されません。なお、法人に対する労務提供は原則として寄与分の前提となる特別な貢献には含まれません。

⑵ 無償性

家業への従事が、無報酬又はこれに近いものである必要があります。無報酬であっても、被相続人の資産や収入で生活していた場合は、無償性の要件を満たし難くなります。また、一定の報酬を受け取っていたとしても、それを補って余りある寄与が認められる場合には、この要件を満たす場合もあり得ます。

一般的に、無報酬で相当期間にわたって労務を提供して、生活費を含め一切の対価を受領していないということは考え難く、無償性は寄与分認定の大きなハードルとなります。

⑶ 継続性

短期間の労務提供では寄与分は認められません。一切の事情を考慮して個別に判断されることになるため、期間について明確な定めがあるわけではありませんが、実務上は、寄与分が認められるためには、概ね3、4年程度の継続的な労務提供が必要であるといわれています。

⑷ 専従性

業務の内容が片手間なものではなく、かなりの負担を要するものであることが必要とされています。「専業」や「専念」まで要求されるわけではないですが、労務内容が相当の負担を伴うことが前提とされています。

⑸ 家業従事によって被相続人の遺産が増加し、又は維持されたこと

家業従事によって、本来であれば従業員に支払うべきであった報酬等の経費の出費を免れたという結果が必要です。

 

2 家業従事型の寄与分の計算方法

寄与分は、「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して」定めるとされており(民法第904条の2第2項)、法律で計算方法が定められているわけではありません。もっとも、寄与分を求める場合には、何らかの方法で金額を計算することが必要となりますので、家業従事型の寄与分を主張する際には、実務上、寄与の態様によって、例えば、次のような計算方法によって計算することになります。

【従業員型】

寄与者の受けるべき相続開始時の年間給与額×(1-生活費控除割合)×寄与年数×裁量割合(事案によって個別に定められます)

【経営者型】

(寄与者が通常受けるべき年間報酬額+利益配分)×(1-生活費控除割合)×寄与年数×裁量割合(事案によって個別に定められます)

 

3 上記のとおり、寄与分には、「②家業従事型」のほかに、①療養看護型、③金銭出資型、④財産管理型、⑤扶養型があります。いずれの寄与分も、認められるためには「特別の寄与」という高いハードルをクリアする必要があります。被相続人が、他の弟妹よりも多くを取得させたいという意向をお持ちであった場合は、遺言書を作成されておくことをお勧めします。

また、従前、相続人以外は寄与分を主張することができませんでしたが、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族に「特別寄与料請求権」を付与する制度が新設されました(1050条)。ただし、「特別寄与料請求権」は、相続の開始及び相続人を知った時から六箇月、又は相続開始の時から一年のいずれかを経過する前に、家庭裁判所に特別寄与料を定める調停ないし審判を申し立てる必要がありますので、当事者間での話し合いが難しい場合は、早期の対応が必要です。

遺言や遺産分割についてお悩みでしたら、一度、弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。

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