相続が発生したとき​

相続債務にまつわるお悩み

Q

.相続放棄を検討しているときに気を付けることはありますか?

A

相続放棄を検討しているときに気を付けていただきたいことは、第二に、相続を承認したとみなされる行為をしないことです。

法律上、相続財産の全部又は一部を処分するなどしてしまうと、相続を承認したとみなされてしまい、相続放棄ができなくなってしまいます(民法921条)。

もっとも、保存行為や短期賃貸借(建物であれば3年を超えない期間)をすることはできます。

処分すると問題になってしまう「相続財産」には、一般的経済的価値があるものが広く含まれます。被相続人の衣類などであっても、着古していて経済的価値がないようなものであれば問題にはなりませんが、一応経済的価値が認められるようなものであれば、誰かに譲るなどした場合、相続財産の処分をしたと言われてしまう可能性があります。

どのような範囲の行為が「処分」とされてしまうかについては、個別の事案における判断を要することが多く、裁判例には、被相続人名義の預貯金を解約してその一部を仏壇や墓石の購入費用に充てた行為を「処分」にあたるとは断定できないとして、相続放棄を認めたものがあります(大阪高裁平成14年7月3日決定)。

また、被相続人の事業にかかる会社(法人化後は被相続人の関与無し。)に物件を使用させていたとしても保存行為の範囲内であるとしたものもあります(最高裁昭和42年4月27日判決)。

相続放棄の可能性があるうちは、相続財産の取扱いにくれぐれも注意してください。

 

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