一部の遺産分割を先行し残りを換価分割した事案
基本情報
遺産分割協議・
相続財産調査プラン
子
70代
調停
相続開始後
解決のポイント
- 一部の遺産を相続人三者のうちの一人に先行して分割
- 残りの遺産の分割方法を他の相続人二者間で協議
- 調停成立後に不動産を換価して二者間で精算
弁護士からのコメント
本件の遺産としては大きく2つの不動産のほか預貯金等の金融資産がありましたが、金融資産が遺産総額に占める割合は高くありませんでした。
2つの不動産のうちの1つはきょうだいの一人(A)が居住する物件、もう1つは収益物件でしたが、それぞれの不動産の評価額について合意に達するには時間がかかることが予想されました。また、親の敷地に建物を建てて住んでいたAの特別受益の評価も問題となりました。
そうした中、相続人のうちの一人(C)は、遠方に居住しかつ闘病中でもあり、不動産でなく金融資産の早期取得を希望していたため、遺産総額に占める割合は少ないものの、先行してCに金融資産を取得させる中間的な合意を行いました。これにより、Cの調停の手続負担を取り除くこともできました。
そのうえで、AB間で調停を重ねながら評価額や特別受益について互いの主張を尽くし、Aが自宅敷地を取得し、Bがもう1つの不動産を取得し売却したうえで、売却代金の一部をAに分けるという方法での分割となりました。不動産の売却・精算手続きにおいては双方代理人間で金額等の調整・確認を行いました。
本件のように、場合によっては、一部の相続人について、調停の負担等を取り除く等の観点から先行して一部の遺産を分割することが適切なこともあると思われます。
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