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よくあるご質問

Q.財産管理委任契約は、任意後見契約とセットでなくてはならないのでしょうか。

財産管理委任契約は、当事者間での合意のみで効力を生じる委任契約の一種であり、法律上任意後見契約とセットでなければ無効になるわけではありません。

しかし、ご本人の認知症が進行し、後見人を必要とする状況になった場合には、後見人としての業務(家庭裁判所の選任する後見監督人の監督を受けます。)に移行しなければなりません。

公証役場においては、財産管理委任契約公正証書を作成する場合には、任意後見契約公正証書も併せて作成する取扱いとされています。

Q.任意後見契約とは、どのようなものですか。

任意後見契約とは、本人がまだご自身の財産管理等ができるうちに、ご自身で財産管理等ができなくなった時の後見人を選んでおく契約です。

もしも自分に何かあって、施設にはいる時の入所契約や、預貯金の解約等ができなくなったら…そのようなときに備えて、事前にご自身で後見人になってもらう人を決めておくものです。

この契約は、ご本人と後見人となる人(当事務所の弁護士がお引き受けすることも可能です。)との間で締結する契約です。

Q.財産管理委任契約とはどのようなものですか。

財産管理委任契約とは、自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部又は一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決め、委任するものです。任意代理契約と呼ばれることもあります。

民法上の委任契約の一種であり、当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に定めることができます。

Q.保佐人とか補助人はどのようなことをしてくれるのでしょうか

保佐人は、本人が行う重要な財産行為につき同意をしたり、本人の同意を得ないで行った取引を取り消したりします。同意が必要な重要な財産行為としては、次のようなものが挙げられます(民法13条1項)。

①預貯金を払い戻したり、金銭を貸し付けたりすること

②金銭を借りたり、保証人になること

③不動産などの重要な財産に関する権利を得たり失ったりする行為をすること

④民事訴訟の原告となって訴訟行為をすること

⑤贈与、和解、仲裁合意をすること

⑥相続を承認、放棄したり、遺産分割をすること

⑦贈与や遺贈を拒絶したり、それらが不利であっても受けたりすること

⑧新築、改築、増築や大修繕をすること

⑨民法602条の一定期間を超える賃貸借契約をすること

なお、保佐人に代理権限を与えたい場合には、別途代理権付与の申立てが必要です。代理権付与の手続をとらない限りは、保佐人が本人に代わって財産行為をすることはできません。

補助人は、上記①~⑨の財産行為の全部ではなく特定の一部について、同意をしたり、本人の同意を得ないで行った取引を取り消したりするものです。

Q.後見人をつけるほどの状況ではないのですが、そのようなときに使える制度もあるでしょうか。

日常的な買い物等はできても、不動産の処分等重要な財産行為については不安がある…というような場合(後見相当ではない場合)、保佐制度や補助制度の利用が考えられます。

また、弁護士等との間で、財産管理の委任契約を締結し、必要な範囲内で財産の管理を委任することも可能です。

保佐人や補助人の業務は法律により規定されていますが、財産管理委任契約による場合には、保佐制度や補助制度に比べ、ご本人の意向に沿った柔軟な財産管理を行うことが可能です。

Q.後見人はどのようなことをしてくれるのでしょうか。

後見人の仕事は、本人の意思を尊重し、かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、必要な代理行為を行うとともに(身上監護)、本人の財産を適正に管理していくこと(財産管理)です。

具体的には、本人のために診療・介護・福祉サービスなどの利用契約の締結や、本人の預貯金の出し入れ、不動産の管理等が挙げられます。

後見を申し立てる動機は、預貯金の管理・解約、介護保険契約、不動産の処分、相続手続(遺産分割協議等)、保険金の受領、訴訟手続等様々です(内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局「成年後見の現状」平成28年9月23日)。

Q.後見人にはどのような人がつくのですか。家族でもなれますか。

家庭裁判所は、想定される後見人の業務内容等に照らし、最も適任と思われる人を後見人に選任します。

内閣府作成の資料によれば、平成27年時点で、親族が後見人になる場合が約30%、親族以外の第三者が約70%とされています(内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局「成年後見の現状」平成28年9月23日)。

専門職が選任されるケースの例は、次のとおりです(熊本家庭裁判所「成年後見申立ての手引」平成29年12月)。

① 親族間に意見の対立がある場合

② 財産が高額、あるいは多岐にわたる場合。賃料収入など大きな変動が予想される財産を保有する場合

③ 不動産の売買、生命保険金の受領、遺産分割など、申立ての動機となった課題が重大な法律行為である場合

④ 候補者と本人との間に貸し借りや立替金があり、その清算について本人の利益を保護する必要がある場合

⑤ 候補者が、従前、本人と疎遠であった場合

⑥ 候補者と本人が同一家計で生活費等が分離されていない場合

⑦ 候補者の状況から、今後の適正な事務遂行が難しいと思われる場合

以上のような事情がなければ、ご家族が後見人に選任されることもあるでしょう。

Q.親の認知症が進んできたのですが、後見人は必ずつけないといけないのでしょうか。

成年後見制度とは、精神上の障害により判断能力が不十分であるため法律行為における意思決定が困難な方々について、その判断能力を補い、その方々の財産等の権利を擁護する制度です。

親の認知症が進んできたからと言って、必ず後見人をつけなければならないということではありませんが、ご本人が施設への入所契約の判断や、日常的な買い物を含め、財産管理がご自身では行えなくなったような(事理弁識能力を欠く常況にある)場合には、後見人をつける必要が生じてきます。

成年後見制度の利用者は、年々増加しており、平成27年12月末日時点で15万人以上が利用しています(内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局「成年後見の現状」平成28年9月23日)。

Q.作ったはずの公正証書遺言がないのですが、どうすればよいでしょうか?

公正証書遺言は、公証役場に原本が保管されています。このため、遺言者本人のほか、遺言者の死後は、相続人、受遺者(遺言で遺産を受け取ることとなっている方)、遺言執行者等であれば、必要書類(戸籍謄本や身分証等)を持参の上、公証役場にて謄本を発行してもらうことができます。

謄本請求をする場合には、事前に公証役場に電話し、遺言者の氏名等や遺言者と謄本請求者との関係性などを説明し、必要書類を確認しておいた方がよいでしょう。

Q.遺言書はどのようにして保管しておくとよいでしょうか?(※H30新法対応)

公正証書遺言であれば、公証役場にて原本が保管されていますので、万が一の場合謄本の請求が可能です。もっとも、公正証書遺言があることや保管場所については、ご家族や遺言執行者等にお伝えいただいた方がよいでしょう。

自筆遺言については、平成30年に法務局における遺言書の保管等に関する法律(新法)が成立しましたので、今後、法務局で保管してもらうことが可能になります。これにより、遺言書の紛失・滅失を防ぐだけでなく、遺言書をめぐる紛争の予防にもつながることが期待されます。

遺言書の保管の申請は、遺言者の①住所地、②本籍地、③不動産所在地のいずれの法務局でも可能です(法4条3項)。申請は、遺言者本人が自ら出頭して行う必要があり、出頭時に本人確認がなされます(法4条6項、5条)。なお、預ける遺言書に封をすることはできません。

遺言者の生存中は、遺言者のみが預けた遺言書の閲覧をすることができることとされており(法6条)、遺言者の死後に相続人等が閲覧した場合には、相続人、受遺者及び遺言執行者に遺言書が保管されている旨が通知され、全ての関係者が遺言書の存在を知ることとなります(法9条)。

※新法は、2020年7月13日までに施行。

Q.家族が亡くなったら、すぐに口座凍結されて預金を引き出せなくなってしまうのでしょうか?(※H30改正法対応:預貯金の仮払い制度)

亡くなられた方の預貯金口座は、金融機関が死亡の事実を把握したら速やかに口座凍結され、自由に引き出すことができなくなってしまいます。このため、従前、金融機関が事実を把握するより前に、一部の相続人が預貯金を引き出すことも見られました。
これは、葬儀代や医療費等諸費用を賄うために、必要に駆られて行われていたものが多いでしょう。しかし、本来、遺産分割前の個々の相続人への払戻しは、相続人全員の同意がない限り認められず、一部の相続人が預貯金を引き出す行為は適法とはいえません。また、引き出した預貯金の管理について、相続人間で紛争が生じることも少なくありませんでした。

平成30年の相続法改正では、「相続開始時の預貯金債権の額(口座基準)×3分の1×(仮払いを求める相続人の)法定相続分」の仮払いを受けられる制度が定められました(ただし、「債務者(金融機関)ごと(複数の口座がある場合は合算)に法務省令で定める額」が上限となります。)。これにより、葬儀代等緊急性の高い支出にも対応が可能になってくるでしょう。
もしも、この仮払い制度で対応できないような金額の大きな支出があるときには、家庭裁判所に遺産分割の審判または調停を申し立てたうえで、預貯金の仮払いの申立てをするという手続き(保全処分)を利用することを検討することになります。手続きには相当程度時間を要することが想定されますので、お早めにご相談ください。

※上記改正箇所は、2019年7月13日までに施行。

Q.自分で遺言を書くときは、署名部分以外をパソコンで作ってもいいでしょうか?(※H30改正法対応:自筆遺言の方式)

自筆遺言は、全文を自筆しなければならないこととされています。このため、本文をパソコン等で作成して、日付や署名部分を自筆するようなものでは、方式が誤っているとして無効になってしまいます。自筆遺言に限らず、遺言の方式は、民法により明確に定められており、方式に則っていないものは無効になってしまいますので、注意が必要です。

もっとも、平成30年の相続法改正により、別紙として添付する財産目録に限り、パソコン等で作成したり、通帳のコピーを添付したりすることが認められました。これにより少しは手書きの負担が少なくなるかもしれません。ただし、本文中には「別紙遺産目録〇(番号)の財産」というように、別紙を引用して明確に遺産の分け方を示しておく必要がありますので、別紙と照らし合わせて誤りがないように、留意しながら作成すべきでしょう。

また、原則として、目録には全ページに署名押印が必要です。

遺言の作り方や財産の引き継ぎ方について迷われたときには、ご遠慮なくご相談ください。

※上記改正箇所は、2019年1月13日に施行。

Q.夫の生前に私(妻)が自宅を譲り受けたのですが、相続のときに影響はありますか?(※H30改正法対応:持戻免除)

ご夫婦の婚姻期間の長さにより結論が異なる可能性があります。
婚姻期間が20年以上であれば、ご夫婦で住んでいるご自宅(居住不動産)を他の配偶者に贈与した場合、配偶者の将来の生活保障の意義が明らかであると考えられるため、相続のときに遺産総額に加算して計算するようなことなく別扱いとすることが原則とされます(民法上、ご主人の持戻免除の意思表示が推定されることになります。)。
つまり、相続時、既に贈与されていた自宅の評価額等は計算に入れずに、その他の遺産について、他の相続人と遺産分割をすることができます。

他方、婚姻期間が20年未満であれば、上述のような民法上の保護は及びませんので、相続時に自宅の評価額が計算に入れられ、その評価額次第では、結果的に他の遺産を受け取ることができなくなるおそれがあります。もっとも、20年未満だからと言って一律に保護されないわけではなく、諸事情が考慮された結果、ご主人に持戻免除の(黙示の)意思があったとして同様に保護される可能性はあります。しかし、そのための主張立証には相当程度ハードルがあり、無用な争いを防ぐには、遺言等で持戻免除の意思表示を明示しておくべきでしょう。

※上記改正箇所は、2019年7月13日までに施行。

Q.夫亡き後、私(妻)は夫の家に住み続けられるのでしょうか?(※H30改正法対応:配偶者の居住権)

他の相続人(子らや父母等)と合意していない場合でも、ご主人の持ち家に無償で住んできたのであれば、民法上、一定の保護が及びます。

平成30年の相続法改正により、配偶者の居住権の保護が定められました。
保護される居住権には、①短期居住権と②長期居住権の大きく2つあります。

①は、ひとまず、他の相続人と遺産の分け方を決めるまでの間(もしくは相続開始時から6か月経過日のいずれか遅い日まで)、当然に居住してよいというものです。もっとも、あくまで暫定的な保護(期限付きの居住権)ですし、居住部分に限られるので、1つの建物であっても、賃料収入を得ていた収益部分等は除かれます。

他方、②は、終身の間、居住してよいというものです。居住部分に限らず収益部分も含めて使用することが可能です。
ただし、この権利は当然には発生しません。遺言で定めておいてもらうか、遺言なき場合には他の相続人と合意をする必要があります。このため、無用な紛争を防ぐには、遺言に居住権のことを明記すべきでしょう。
この居住権は遺産分割の算定の際に考慮されることとされていますので、全くの無償で居住し続けられるものではありません。しかし、建物を取得しなくても(建物の評価額を他の相続人との遺産分割で精算しなくても)住み続けられるという点で、配偶者にはメリットが少なくないでしょう。

※上記改正箇所は、2020年7月13日までに施行。

Q.相続することができる(相続権がある)のは誰ですか?

配偶者は、常に相続権を有します。

その他の相続権が誰に発生するかは、以下の順に確認してください。
①子(亡くなっている場合には孫)
②子や孫がいないなら 親(親がおらず祖父母がいる場合には祖父母)
③親や祖父母もいないなら 兄弟姉妹(亡くなっている場合には甥姪)

配偶者と①~③の人との配分割合は次の通りです。
配偶者:①全員 = 1:1
配偶者:②全員 = 2:1
配偶者:③全員 = 3:1

①~③のそれぞれの人同士での内部での分け方は、均等になります。 なお、子や兄弟姉妹の配偶者(義理の家族)は相続権を有しません。

Q.遺言で相続人の1人に全財産をあげたいと思っているのですが、それでも他の相続人に相続権が発生するのですか?

遺言で相続人の1人に全財産を譲る旨を定めておいた場合、その他の相続人が受取ることのできる遺産は、原則としてありません。

ただし、一部の相続人には遺留分があり、全財産を譲り受けた相続人に対して、これを請求できます。
遺留分を有するのは、次の人です。
①配偶者
②子(子が亡くなっている場合にはその孫)
③子や孫がいないなら 親(親がおらず祖父母がいる場合には祖父母)
※注意 兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分は、遺産総額から次の割合で確保できることになっています。
①配偶者 2分の1
②子・孫(全員で) 2分の1
③親・祖父母(全員で)3分の1

①~③のそれぞれの人同士での内部での分け方は、均等になります。遺言者が遺留分すら渡したくないというお気持ちであっても、相続人から遺留分を請求されれば、これを拒むのは難しいというのが実情です。

Q.財産をあげたくない相続人の相続権を失わせることはできますか?(廃除)

遺留分を有する相続人に、一切財産を渡したくないというときには、家庭裁判所に廃除の請求をするか、遺言に廃除の意思を表示することによって、相続権を失わせることが考えられます。

この廃除は、①虐待、②重大な侮辱、③その他著しい非行があったときに認められます。

もっとも、これらの非行は、家族の関係が破壊されて修復が著しく困難となるようなものである必要があります。
一時的な激情に出たものに過ぎない場合には、廃除が認められません。

廃除が認められるには大きなハードルがあるといえます。

Q.生前に、一部の相続人に多額の財産を渡していたというとき、遺産の分け方は変わりますか?(特別受益)

渡した(贈与した)分の財産が、生前の「生計の資本としての贈与」(民法903条1項)として特別受益にあたり、各自の受取金額が変わることがあります。

特別受益にあたる財産の金額は、遺産総額に加算して計算されます。これを「持戻し」といいます。
そして、特別受益を受けた相続人の最終的な相続分は、特別受益の金額を差し引いた金額になります。
このため、特別受益の金額次第では、贈与を受けた相続人が新たに取得できる遺産はないとされる可能性もあります。

もっとも、この「持戻し」を免除することも可能です。
被相続人(贈与者)が、贈与した財産の金額を遺産総額に加算しなくてよい、言い換えれば、贈与した分は特別にその相続人が取得してよいという旨を意思表示しておくことにより、生前贈与を考慮することなく遺産を分割することが可能になります。
もっとも、実務上、持戻免除の意思が明確に示されていることは多くなく、黙示の意思表示が認められるか否かが争いになるケースがみられます
(※詳細は別途記載)。

生前に多額の財産を渡すというときには、持戻免除を行っておく必要性がないかどうかについても確認しておくべきでしょう。

Q.どのようなものが特別受益にあたるのでしょうか?

特別受益にあたる贈与は、「生計の資本としての贈与」(民法903条1項)です。必要の都度渡していた生活費の援助等は、後々まで生計の基礎となるものではないとして、基本的には特別受益にはあたらないと考えられます。
以下に例を挙げます。

①居住用の不動産の贈与・購入のための資金援助
②営業資金の贈与
これらは、後々まで生計の基礎として役立つような財産上の給付ですので、特別受益にあたると考えられます。

③結婚に際しての支度金・持参金と結納金・挙式費用
支度金・持参金や嫁入り道具の費用などは、結婚にあたっての贈与であり、特別受益にあたると考えられます。
一方で、結納金や挙式費用は、両親や親族一同にとっても重要な儀式であるとの考えから、単純に子に対する贈与とはみられない傾向があり、結納金の性質や、挙式・披露宴の態様などの考慮が必要です。

④高等教育の学資援助(高校・大学等)
もともと学資援助は、親の子に対する扶養の一内容ですので、被相続人の資力や社会的地位・学歴、他の相続人との関係などを考慮したうえで、特別受益とまでいえるかを検討する必要があります。
高校の学資の支出については、高校進学率の上昇により、特別受益とは認められない傾向にあります。
その他大学等の学資について、単に公立か私立かで金額に差異が生じたというだけでは、その差額が特別受益にあたるとはいえません。たとえば、兄弟4人中1人だけが医歯学部に進んだというような場合には、他の兄弟との関係で相応な範囲を超える部分が特別受益にあたることがあります。

以上のとおり、特別受益にあたるかどうかの判断には、様々な事情を考慮する必要がありますので、ご相談ください。

Q.相続人の1人が死亡保険金を受取っているのですが、これも特別受益にあたりますか。

特別受益にはあたりません。

死亡保険金は、お亡くなりになった方の相続財産に含まれていたものではなく、指定された保険金受取人自身が、死亡によって初めて、固有の権利として取得するものだからです。また、お亡くなりになった方の保険料と等価関係に立つものではありませんし、稼働能力に代わる給付(退職金や功労金のようなもの)でもないので、実質的にお亡くなりになった方の財産であるともいえないと考えられています。

もっとも、相続人間の不公平が著しくなることもあるでしょう。
最高裁は、次のような諸般の事情を考慮して、「特別受益に準じたもの」として持戻しの対象となるとしています(最高裁平成16年10月29日決定)。

①保険金の額
②遺産総額に対する比率
③同居の有無
④介護等に対する後見の度合い等他の相続人との関係
⑤各相続人の生活実態等

<特別受益に準じたものと認められた例>
1 東京高裁平成17年10月27日決定
①②遺産の総額に匹敵する利益
③同居していたわけでもなく
④介護等を託するといった明確な意図があったものでもなかった

2 名古屋高裁平成18年3月27日決定
①5000万円超と高額
②遺産総額(遺産分割時)の約77%
③配偶者であるが婚姻期間3年5か月程度

このような例からは、特別受益に準じたものとするにはそれなりのハードルがあるように思われます。

Q.特別受益を遺産に持ち戻さずに済む方法(相続分から控除されない方法)はありますか?(持戻免除)

特別受益は、遺産総額に加算して計算され(持戻し)、最終的に特別受益を受けた人の相続分から控除されますが、この持戻しを免除する意思表示を行うことができます(民法903条)。
意思表示は、遺言などに明示しておく必要があるでしょう。

もっとも、場合によっては、黙示の意思表示があったとして、持戻免除が認められる場合もあります。
代表的なのは、①将来の扶養・生活保障の目的が明らかである場合や、②家業を承継させるにあたっての贈与と認められる場合です。
たとえば、難病や障害等のため自立して生活できない子に対し、自宅や家賃収入を得られる不動産を贈与するような場合が①にあたります。
また、家業を承継する長男に田畑や宅地、居住家屋を贈与するような場合が②にあたります。

ただし、これらの持戻免除が認められたとしても、遺留分を侵害することはできません。
生前贈与であれば、亡くなる前1年間の贈与や、遺留分を侵害すると知って行った贈与は、遺留分の算定における遺産総額に加算され、遺留分を侵害する分について価額弁償などが必要になる可能性もありますので注意が必要です。

Q.遺言で、長男に全財産を譲り渡すよう書きましたが、長男が私より先に亡くなってしまった場合、長男の子(孫)らが受け取るのでしょうか。

いいえ。法定相続分に従って分割されることになります。

遺言の効力が発生するのは、死亡時です。ご存命でない方に対する贈与はできず、遺言は無効となってしまいます。
したがって、お孫さんに受け取らせたいときには、ご長男が同時又は先に亡くなってしまった場合に備えた文言を入れておく必要があります。

Q.遺言を作ろうと思うのですが、自筆で作るのと公正証書にしておくのとでは、どちらがいいのでしょうか。

双方にメリット・デメリットがあります。

自筆遺言は、自分で書く手間はありますが、コストがかからず、公証人役場に出向くなどの必要もありませんので、迅速かつ手軽に作ることができます。

一方、公正証書遺言は、公証人役場に出向き(出向くことができない場合には自宅や病院に出張してもらうこともできます。)、費用を支払って作成してもらう必要があります。
しかし、いざ遺産を分けるというとき、自筆の遺言だと、家庭裁判所で遺言書を検認する手続(原則として、相続人全員が関与します。)が必須となりますが、公正証書遺言ではその必要がありません。
そのため、相続人に手間をかけたくないという方や、相続人間で争いが生じる不安があるという方は、公正証書にしておくことをおすすめします。

Q.遺言の検認手続とはどのようなものですか?必ず必要ですか?

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません(裁判所HP参照)。

公証人役場で作成した公正証書遺言ではない場合には、この手続をして検認済み証明書を獲得しなければ、遺言の執行として各種手続を行うこともできません。
したがって、自筆の遺言の場合には必須の手続です。

手続においては、相続人全員の手続関与が保障されており、申立て後、裁判所から相続人全員に対して検認を行う期日の通知がなされます。もっとも、出席するかどうかは各相続人の判断に任されています。
そして、出席した相続人の立ち会いのもと、遺言書が開封され確認されます。
なお、申立時には相続人全員の戸籍の提出が必要です。

相続人全員の協力を得るのが難しく書類が揃わない等の問題も生じ得ます。
遺言の検認や、その後の遺言執行(遺言の内容に従った各種手続)についてお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

Q.遺言に印鑑が押されていなかったのですが、無効でしょうか。

自筆の遺言の場合、①全文をご本人が筆記していること、②日付の記載や、③署名があること、そして④ご本人の印鑑による押印があることが必要です(民法968条1項)。

したがって、印鑑が押されていない場合、遺言は無効になってしまいます。

なお、印鑑は、必ずしも実印である必要はなく、認め印や拇印でも構いません。ただし、実印でない場合には、真実本人の印鑑・拇指によるものなのかどうか争いが生じる場合もありますので、可能な限り実印によるべきでしょう。
変更箇所があれば、①変更した旨を付記し、②別途署名したうえで、③署名箇所に押印しなければ、変更は有効にされていないことになるので、その点にも注意が必要です。

もっとも、遺言書の作成にあたって、ご本人と遺産を受け取る方とで遺産を受け取ることについての合意があった場合など、遺言書が作成された経緯次第では、贈与契約(死因贈与)の書面として有効となる可能性はあります。

遺言が無効になるリスクを回避するには、作成時にご相談いただくことが最善ですが、万が一遺言の有効性やその内容に疑義が生じた場合、ご相談ください。

Q.実際に遺言書が無効になってしまった事案には、どのようなものがありますか?

A 最近の裁判例(東京高裁平成30年2月22日)に、次のようなものがあります。

1 事案
本件は、92歳で亡くなった母Aの遺産(主に不動産)について、兄弟姉妹及びその子ら6名(X、Y1~Y5)の間で、遺言の有効性についての争いが生じた事案です。
遺言書では、三女Xに対して全財産を遺贈する旨が書かれており、この遺言書が検認され、亡AからXへの不動産の移転登記が完了していました。
X以外の相続人Y1~Y5は、亡Aの筆跡と遺言書の筆跡が異なることなどから、遺言の効力を争い、法定相続分に従った割合での所有権移転登記手続を求めて提訴しました。
2 遺言書の作成状況等について
遺言書は、亡Aが88歳の時に作成されたものでした。
亡Aは、遺言書を作成する5年ほど前に脳梗塞を発症して入院したり(後遺症無し)、その後間もなく帯状疱疹を発症したりして、ひとり暮らしに支障が生じ、三女Xと同居するようになりました。
長男Y1らは、当時亡Aと同居していたXが関与して、遺言書が偽造されたのではないかと疑ったものとみられます。
裁判では、遺言書の筆跡が亡Aのものと異なるとして、Y1らが遺言書を作成する何年か前の手紙等を証拠として提出するなどしました。
これに対し、Xは、遺言書の亡Aの筆跡が従前の筆跡と異なるのは、遺言書を作成する前に亡Aが発症した帯状疱疹等により、亡Aが右肩・右腕に神経痛が残っていたためであるなどと主張し、これに沿うような当時の診断書を提出するなどしました。
また、本件遺言書の作成・保管には行政書士Gが関与していたため、Gが証言をしました。しかし、Gは、肝心の遺言書の筆跡等について、「預かったのがだいぶ前なので、遺言者のものかどうか記憶にない」と証言するにとどまりました。
3 裁判所の判断について
裁判所は、まず、Y1らが提出した過去の亡Aの筆跡と、遺言書の筆跡とが同じものであるかどうかについて、鑑定を行いました。この鑑定の結果、鑑定人は「異なる筆跡であると推定する」と鑑定し、裁判所もこれを是認しました。
そうすると、次に、異なる筆跡であることを前提として、異なることの説明がつくかどうかを検討することになります。腕の神経痛や認知症の進行により、書字能力が劣化して、従前と異なる筆跡になることはありうることです。
裁判では、多数の医療機関の診断書や介護記録等から、亡Aの神経痛の有無や亡Aの認知症の進行の程度、それらが書字能力に与える影響の有無・程度等について、検討されました。
その結果、亡Aの帯状疱疹後の神経痛による右肩の痛みと右腕のしびれにより書字能力等が相当程度劣化していたことを認めることはできず、認知症についても、それにより書字能力が相当程度劣化していたとは認められないとして、遺言書の筆跡は亡Aのものではなく、遺言は無効と判断されました。
そして、Y1らの所有権移転登記手続請求も認められました。

この裁判は、Aが亡くなってから約4年を経て、決着しました。
遺言が有効か無効かを争う裁判は、長期にわたることが多く、親族の皆さんの心身の負担も大きなものになります。
これから遺言書を作成される方は、本人確認等がなされる公正証書により作成することをお勧めします。
また、万が一遺言の効力を争うことになってしまった場合には、上記裁判例のように、多数の資料を用いた主張立証が必要になってきますので、弁護士にご相談いただければと思います。

Q.相続放棄はいつまでにすればよいのでしょうか?

「借金ばかりだから相続はしたくない」、「疎遠になっていたし、土地をもらっても仕方がないから相続はしない」など、様々な理由で相続放棄を検討されることがあると思います。

相続放棄を検討しているときに気を付けていただきたいことは、第一に、期間制限です。

相続放棄は、家庭裁判所に対して申述する手続が必要ですが(民法938条)、その手続期間(熟慮期間)として認められているのは、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」です(民法915条1項)。

「自己のために相続の開始があったことを知った時」というのは、①相続開始の原因及び②自己が相続人になったことを知った時とされており、基本的には、被相続人の死亡を知った時が基準となります。

もっとも、被相続人と疎遠だった場合、相続財産(負債を含む。)の存在を認識するのが難しいこともあるでしょう。

そのようなときには、相続財産としてどのようなものがあるのか、プラスが多いのかマイナスが多いのかなどを検討するため、家庭裁判所に対し、相続放棄の期間を伸長してもらう手続をとることができます(民法915条2項)。

伸長できる期間に法律上の制限はなく、家庭裁判所の判断によりますが、3か月程度の期間伸長が認められることが多く、それでもどうしても調査が終わらないと考えられる時は、3か月以上の期間伸長を求めたり、再度の伸長を求めたりすることが考えられます。

相続放棄は、期間制限に注意しながら、相続財産の調査を進める必要があります。

当事務所では、相続放棄の手続はもちろん、相続財産の調査のお手伝いもしておりますので、お気軽にご相談ください。

Q.死亡を知ってから3か月を過ぎてしまったのですが相続放棄できますか?

相続放棄の期間伸長の手続などを行わずに、被相続人の死亡を知ってから3か月が過ぎてしまった場合でも、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じ、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の事情があって、相続人がそのように信じるについて相当な理由があると認められる場合であれば、期間の起算日を「相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識し得べき時」として、相続放棄が可能なこともあります(最高裁昭和59年4月27日判決)。

具体的なご事情について弁護士にご相談いただければと思います。

Q.相続放棄を検討しているときに気を付けることはありますか?

相続放棄を検討しているときに気を付けていただきたいことは、第二に、相続を承認したとみなされる行為をしないことです。

法律上、相続財産の全部又は一部を処分するなどしてしまうと、相続を承認したとみなされてしまい、相続放棄ができなくなってしまいます(民法921条)。

もっとも、保存行為や短期賃貸借(建物であれば3年を超えない期間)をすることはできます。

処分すると問題になってしまう「相続財産」には、一般的経済的価値があるものが広く含まれます。被相続人の衣類などであっても、着古していて経済的価値がないようなものであれば問題にはなりませんが、一応経済的価値が認められるようなものであれば、誰かに譲るなどした場合、相続財産の処分をしたと言われてしまう可能性があります。

どのような範囲の行為が「処分」とされてしまうかについては、個別の事案における判断を要することが多く、裁判例には、被相続人名義の預貯金を解約してその一部を仏壇や墓石の購入費用に充てた行為を「処分」にあたるとは断定できないとして、相続放棄を認めたものがあります(大阪高裁平成14年7月3日決定)。

また、被相続人の事業にかかる会社(法人化後は被相続人の関与無し。)に物件を使用させていたとしても保存行為の範囲内であるとしたものもあります(最高裁昭和42年4月27日判決)。

相続放棄の可能性があるうちは、相続財産の取扱いにくれぐれも注意してください。

Q.相続財産に空き家があるとき気をつけることはありますか?

1 空き家をめぐる全国及び熊本の動向

平成27年に空き家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、各自治体において、空き家の実態把握や活用の促進等が図られてきました。

熊本では、平成28年熊本地震の影響を受け、地震による損傷を受けた空き家が公費解体されたり、流通していた空き家が住宅再建までの仮住まいとして利用されたりして、空き家等をめぐる状況が大きく変動しました。

今後は、公費解体されないまま残ってしまった(状態が悪化した)空き家や、住宅再建により再び空き家となってしまった家屋等について、どのような施策が行われるのか注目されます。

 

2 空き家を相続するリスク

近年は、子や孫などの相続人が都市部に居住しており、田舎の土地や家屋を相続しても、実際に住む人はおらず、売るにもそう簡単には売れない…などといった事例が増えているように思います。

そのようなときに、「使わないけど、とりあえず相続。」というのは、リスクがあります。

相続した預貯金等他の資産があっても、それを使い切ってしまうほど維持管理にコストがかかることがあるのです。

他方、空き家を長年維持管理せずにいると、自治体から「特定空き家等」に指定され、固定資産税等の特例措置(住宅用地特例)が解除され、税負担が大幅に増額するおそれがあります。

また、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」に至ったと判断される場合には、市町村長から除却等の指導、勧告、命令等を受け、それらに従わない場合には、市町村長の代執行による除却(解体)等が行われ、その費用等を徴収されるおそれも出てきます。

 

3 「負」動産の相続にならないために

不動産は、「負」動産とも表現されるようになってきました。

不動産の相続がある場合には、財産を遺されるご本人においては、生前にご家族にとってどのような遺し方が良いのかをお考えいただく必要があるでしょう。そして、相続するご家族の方々においては、その不動産の将来的な活用の有無だけではなく、相続人として負うことになる責任にも目を配って、遺産分割等を行っていただきたいと思います。

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